着物を着ると、自然と背筋が伸びる
そう感じたことはありませんか?
それは気のせいではなく、体の使い方そのものが変わるからです。
着物が姿勢を整える理由
みんな着物を着るのが当たり前だった時代とくらべ、
今では非日常になりつつある着物姿。
そんな今だからこそ、着物を着るという選択。
見られることで背筋が伸び、
前姿も後姿にも気を遣うようになります。
裾を決める時の腕の使い方、力の入れ方、
おはしょりを整えるときの手の使い方、
お紐を結ぶ力加減や、
肩甲骨を近づけて、背中の布のしわやたるみを取る。
普段使わない筋肉、腕の可動域を感じながら、
布を纏っていく。
着物を整えながら、姿勢が整う時間。
ただ着るというだけで、姿勢が整うのは着物だけかも。
帯と背筋の関係
帯の位置はちょうどみぞおちあたり。
そこを軽く支えるように背中を伸ばすと、
自然とお腹が引き締まり、
骨盤が立ち、
首がすっと伸びます。
無理に背筋を伸ばそうと頑張らなくても、
着物が正しい姿勢に導いてくれるのです。
美しい背筋と肩甲骨の上に、帯枕を乗せて、
脇でしっかり締めて前で結ぶ。
ひとつひとつ呼吸しながら丁寧に。
そして美しい姿勢になれたとき、
着崩れで悩むことがなくなるほど
きれいに着られるようになっています。
所作が心まで整える
実はこの姿勢、見た目の美しさだけではなく、
心のあり方にも影響します。
背筋を伸ばして立つと、呼吸が深くなり、
気持ちも落ち着きやすくなります。
たくさんの空気を吸い込み深呼吸。
着物の所作は”静けさ”を伴う動き。
歩くときもちいさな歩幅で、
裾に気をつかいながら一歩ずつ進む。
それだけで、心が自然と穏やかになっていくのを
感じられます。
立ち居振る舞いのひとつひとつ、
お辞儀をするとき、ものを取るとき、座るとき。
着物はどれも「ゆっくり」「丁寧に」「静かに」
を意識します。
そのリズムが身につくと、
洋服の日でも所作が柔らかく、
丁寧にものを扱えるようになります。
洋服のときにも活かせる着物の体の使い方
暮らしの中で、この着物の姿勢をいかしてみましょう。
洗い物をするときや、スマホを見るとき、
少しだけ背筋を伸ばしてみましょう。
それだけで、呼吸が深くなり、新鮮な空気を楽に体に取り込めます。
そして気持ちに余裕が生まれます。
見た目を整えるよりも、”姿勢を整える”ことが
心を整える第一歩なのかもしれません。
まとめ
着物は、ただの伝統衣装ではなく、
「体と心をまっすぐにする」ための日本の知恵。
一枚の布の中に、立ち方、歩き方、そして生き方の
ヒントが隠れています。
今日の暮らしの中に、ほんの少し着物の感覚を思い出してみましょう。
背筋を伸ばし、深く息を吸って、静かに動く。
それだけで、日常が少し上品に、美しく変わり始めます。
